フランス大統領選挙 テレビ討論会

kagetsu2007-05-03

伝統のテレビ討論会をFrance2のウェブから動画で見た。リアリストで明快かつ実行を旨とするサルコジにイメージ先行のセゴレーヌ(ロワイヤル)が何処まで対抗できるかと思ってみていたが、結構セゴレーヌは頑張っていたように思う。


サルコジはやはり冷静沈着に「出来る男」「俺に任せろ」的な雰囲気を終始ふりまき、対するセゴレーヌは何とか穴を見つけようとしたり、徹底的に対案を示して違いを明確に示そうとしていた。


それだけならば良くある討論会で終わっていただろうが、にわかに討論会が色めき立ち緊張を高めたのが、サルコジが「ハンディキャップをもつ生徒を普通の学校へ受け入れるようにすべきだ」と主張した時の事。この瞬間遠めに見てもセゴレーヌの体が硬直するのが分かる。そして、続いて発言の機会を得ると、アップになった画面の中の彼女は怒りに燃えていた。


そもそもジョスパン政権の時内閣にいた彼女はハンディキャップ生徒を受け入れる法案を準備していた。しかし、「あなたがたUMPのせいで上手く行かなかった」うえに、実際は類似した法案がシラク政権下で成立し運用されている。


それでセゴレーヌは「あなたはハンディキャップの人を政治に利用している背徳的な人間だ」と強く非難した。サルコジはタジタジになりながらも、そんな感情的な人間では大統領の重責は負えないとやり返していた。


このくだりが果たしてセゴレーヌの劣勢を挽回するかどうかは分からないが、個人的にはサルコジの冷徹な感じよりセゴレーヌの人間らしさが好ましかった。現代においてPSの平等民主主義が自由民主主義に対してどのていど現実味のある政治が出来るのか、日本のためにも知りたい。


フランスにいて驚いたのは政権が変わると本当にがらっと社会が変化する事だ。サルコジが内務相担った時もすぐに外国人や有色人種への風当たりがつよくなった。こういう政治的にダイナミックな中にいれば自然と国民の関心も高くなるし深くなるだろう。日本はどうしたら良いのか。


そうそう、今回の選挙で「中道」を作るのに一定の成果を挙げたバイルーはこの討論会のあと「サルコジに入れない」とコメントしたそうだ。セゴレーヌ指示を表明した訳ではないが、バイルー票の動きも注目したい。