2008-01-01から1年間の記事一覧

The Road Cormac McCarthy

コーマック・マッカーシーによる小説「ザ・ロード」を読んだ。核戦争が原因と思われる大変動のあと数年経った、末期的様相を呈した地球上に生きる父と子を描いた小説。と書くとありふれた設定のありふれた小説に思われるだろうが、これはひと味もふた味も違う。…

地磁気を感じ取る牛

PNASに出た論文によると、Sabine Begallらはグーグルアースを使って牛などの草を食む動物がどんな向きで居るかを調べたそうだ。そうすると、南北方向にたたずんでいる牛や鹿が優位に多かったという。そういわれてみれば、牛ってみんな同じ方向いてもぐもぐや…

グロテスク 桐野夏生

休みを利用して、久しぶりに長めの小説を読んだ。いわゆる東電OL殺人事件をもとにしているのだが、そういう週刊誌的な次元を超えた深い内容。いかにも小説的な前半から圧巻の後半へと、複数の登場人物をもちいてヒトの内的心理が立体的に描かれる。それも暗…

福寿草

牡丹を見に行ったとき、福寿草も咲いていた。寒空のもと、黄色い花が春を告げていた。

寒牡丹

近所の庭園に寒牡丹を見に行ってきた。 大きな、柔らかな、ふんわりとした花びらがとてもきれいだった。

プリオン説はほんとうか? 福岡伸一

前半はプルシナーが中心となって解明した、プリオン蛋白質がBSEなど一連の病気の要因であるとする研究の紹介。後半は、一転プルシナーのプリオン蛋白質単独原因説に疑問をはさみ、自説を展開するという本。 大変面白く書けているのだが、それ以上に疑問が多…

京都のお囃子

Naxos Music Libraryでこんなものを見つけた。 LYRCD7137 日本の伝統音楽 能楽(京都能楽会) JAPAN Kyoto Nohgaku Kai: Japanese Noh Music http://ml.naxos.jp/?a=LYRCD7137 懐かしい。The Kyoto Nohgaku Kaiとあるだけで名前は出ていないが、学生時分聞い…

見てわかるDNAのしくみ(工藤 光子, 中村 桂子)

JT生命誌研究館は基礎研究の現場と一般の人をつなごうとすばらしい努力を重ねてきた。その成果の一つがこの三枚組DVDだ。今の日本はすぐに社会に還元される研究を求める。平たくいえば、金儲けになる研究だ。だがそれで本当に日本の科学は豊かになるのだろう…

眠れない一族 ダニエル・T・マックス

書店で手に取ったとき、副題の「食人の痕跡と殺人タンパクの謎」をみてプリオンの話だと分かった。でもタイトル、そして装丁に使われているロンギによるヴェネツィアの絵が結びつかなかった。 致死性家族性不眠症に苦しむ一族からはじまり、クールー病、スク…

魚の左利き右利き

この正月は北海道の美味しいシシャモを送ってもらって食した。開封すると雌雄両方入っていて、雄の方が普通スーパーで売ってるぐらいの大きさ。子持ちのメスはそれよりも一回り小振り。雄のシシャモを食べた記憶がないのだが、これが美味しくてびっくりした…

民衆を煽動する危険な香りを感じる

アメリカ大統領選、アイオワにおける民主党最初の予備選でオバマが勝利。この人は政治的にはどんな人物なのだろうか。

系統樹思考の世界 三中信宏

これはなかなかの良書であった。いまや生物関連の論文や学会発表で現れないことはないといっていいほど広まった系統解析。いったいこれがどのような考え方に基づくのか、歴史的経緯も含めてきわめて平易に解説してある。専門的な知識がなくても十分理解でき…

日本人になった祖先たち 篠田謙一

ミトコンドリアDNAの配列解析から、人類がどのように世界へ拡散していったか考察する内容。といっても、表題の通り日本人のミトコンドリアDNAに関する話題がおおい。新しいデータも色々入っていて、人類がアフリカをでてどのようなルートをたどって世界中へ…