ビョークの祈り

ひょっとしたらと思って検索したら、ナクソス・ミュージック・ライブラリーにビョークの歌があった。ジョン・タヴナーの「Prayer of the Heart」と言う曲だ。「ジョン・タヴナーのポートレイト」と言うアルバムに収められている。


パリのポンピドゥー・センターにある国立現代美術館に行った時、ナン・ゴールディンの作品「ハートビート」が展示してあって、そこでこの曲を初めて聴いた。フロアの一角に暗室がしつらえてあって、PowerPointにおされて今ではすっかり姿を消した懐かしいスライドの音が、カシャ、カシャ、と響いている。


スクリーンにはいくつかのカップルの生々しい愛の形が煌々と照らし出され、単純な和音を弦楽四重奏が奏する上にビョークギリシャ正教のミサを歌う。ヘテロやホモ、若いカップルから中年のそれまで、普通ならば外には見えない、二人だけの間にある何かが映し出されている。静謐な、しかし強烈な印象を残す作品だった。