ヴィヴァルディのスターバト・マーテル

先日シャルパンティエの「修道女のためのスターバト・マーテル」を聴いたと書いたが(参照)、スターバト・マーテルというと何といってもヴィヴァルディとペルゴレージの物が好きだ。

ヴィヴァルディのスターバト・マーテルナクソス・ミュージック・ライブラリーで検索すると以下の演奏が見つかった。

(1)Jakub Burzynski指揮および歌によるTempestaの演奏
(2)Marta Benackovaの歌、Martin Sieghart指揮によるPrague Virtuosの演奏
(3)Marion Newmanの歌、Kevin Mallon指揮によるAradia Ensembleの演奏
(4)Marie-Nicole Lemieuxの歌、Jeanne Lamon指揮によるTafelmusik Baroque Orchestraの演奏


ピリオド楽器カウンターテナーによる(1)はかなりとんでもない演奏。何でこんな事になったのかよくわからない。太鼓がドンドコ鳴ってるし。


モダン楽器による(2)は中々良い。Marta Benackovaは、メゾと書いてあったが実際はコントラルトと言っていいのではないか。美しい声。


(3)はピリオド楽器による演奏。ヴィヴァルディのピリオド楽器演奏にありがちなドギツイ演奏ではなく、小編成で心に染み入る演奏が中々気に入ったのだけども、歌手がもう一つなのが残念。


(4)もピリオド楽器による演奏だが、(3)よりも厚みがある響きでヴィヴァルディの良い意味での劇場的表現を見事に汲み出している。何よりも歌手のマリ=ニコル・ルミュウ(Marie-Nicole Lemieux)が素晴らしい。言葉の一つ一つから意味が伝わってくるし、ヴィヴァルディで一番大事な「歌」がある。十字架の上のイエスのしたで涙にくれるマリアの姿が、またマリアを信仰する人々の姿が浮かんでくる。


ルミュウはシャンゼリゼ劇場オルランド役を聴いて感激した思い出がある。劇場の似合う華やかな雰囲気を持った女性であったが、こういった曲も見事にこなしている。この演奏を収めたCDもその後しばらくして店頭に出回ったのをすぐに購ったのであった。


なお、スターバト・マーテルの詞章と対訳Stella Musicaと言うサイトなどにある。ヴィヴァルディは詞章の一部を省略している。