フューチャリスト宣言 梅田望夫/茂木健一郎

フューチャリスト宣言 (ちくま新書)
話題の書を読了。対談と講演がベースなのでスルスルと読めた。読んでいて強く感じた事は、「おわりに」に書いてあった。
「この本は、細部をつついて批判するのがバカバカしいような明るい本となる」


全くその通りで、人間の可能性とインターネットの可能性について、二人が活き活きと語り合っている明るい本であった。


僕はモザイクだとかネットスケープだとかの頃にインターネットに触れ始めたのだが、当時から現在に至るインターネットの進展は物凄いの一言につきる。仕事関連の論文でいえば、当時はまだ図書館に行って雑誌をひとつひとつ見たり、その年どの雑誌にどんな論文が出たかそれだけをまとめた雑誌をめくったりしていた。それが、いまでは仕事関連の論文を得るために図書館に行く事は殆どない。今や論文を読むのも出すのも、紙媒体はいらないのだ。


それどころか、生データもどんどんと公開データベースに放り込まれている。大学などの研究機関に属さなくても、実験計の研究にこだわらなければ、在野で十分研究が出来てしまう時代なのだ。こういった可能性について、本当に楽しく書かれている本で、読んでいて力が湧いてきた。


だけれども、まだまだ世界は(自分も含めて)このような状況を新しい物の創造につなげる事が出来ていない気がする。本書でも少し触れられる生命科学にしたって、今はデータばかり大量に集められているだけで、それら個々のデータがどのように繋がって生命の全体像となっているのか、もどかしいまでに理解が進まない。


自分も含めて多くの人はネット世界の凄さは感じていると思う。その計り知れないネット世界を、どう実世界とつなげていくのか、解答は個々人にゆだねられている。お前もちょっとやってみなよと、軽やかな檄を飛ばされた感じだ。