125 QUESTIONS 我々は何を分かっていないのか?

kagetsu2007-07-24

もう二年以上前になるが、2005年の6月にサイエンス誌は125周年を向かえ、記念号にて、現在の科学にとっての大きな謎、課題はなにかリストアップしようという企画があった。今後25年のうちに解かれるか、手がかりが得られそうなものに限る、という条件付きで選ばれた。科学で何が重要かというと、何が分かっていて、何が分かっていないのか、分かる事なのだ。


ここで話題になっているのは、やれば分かる事、やる前からだいたい予想は付いている事ではなくて、より重要度が高く難しい課題だ。最終的に125の謎に絞られたが、なかでも人類にとって根本的な問いを抜き出したのが以下の25項目。残った問に関してはまた機会を改めて紹介したい。


1. 宇宙はどんなもので出来ているのか(宇宙の大半の質量が正体不明である)?
2.意識とはなにか?
3.何故人間の持つ遺伝子の数はこんなに少ないのか(生物は遺伝子の数が多いほど複雑というわけではない)?
4.遺伝的資質は個人の病気にどの程度影響しているのか?
5.物理学の法則は統一する事が出来るのか(4つの相互作用に関する統一場理論)?
6.人間の寿命は何処まで延びるのか?
7.組織の再生を制御する機構は?
8.倫理的問題があるES細胞以外に幹細胞は作れるのか?
9.植物の場合、一個の体細胞から完全な個体にまで生長する事が出来る。その機構は?
10.地球の内部はどうなっているのか?
11.この宇宙に他の生命は存在するのか?
12.地球上の何処で、どのように生命が誕生したのか?
13.種の多様性はいかにして生じるのか?
14.人間を人間たらしむ遺伝的な変異は何だったのか?
15.記憶はいかにしてしまい込まれ、また呼び出されるのか?
16.社会的行動の進化的起源は?
17.あふれる生物学データから如何に生命の見取り図を描くか(システムバイオロジー)?
18.生物が易々と行っている分子の組織化を、人は化学を使ってどこまでまねすることができるのか?
19.現在のコンピューターの限界は打ち破れるのか?(P≠NP予想、量子コンピューター)
20.臓器移植に際し、体全体の免疫機構は維持したまま、その部分特異的に免疫反応を停止させる事はできるのか?
21.量子力学の「不確定原理」や「非局所性」には、更に深い原理があるのか?
22.HIVのワクチンは出来るのか?
23.温暖化した世界の姿は?
24.石油の代替エネルギーとなるのは何か?それは何時やって来る?
25.マルサスの予言が現実となる日は来るのか?(人口問題)


元の記事はこちら。科学というよりも科学技術的な側面が強い問題も幾つかあるが、個人的には、やはり古くからある根本的な問に興味を魅かれる。自分の存在する世界がどの様に成り立っているのか、それを考える自分とは何なのか。ちなみに僕の仕事と関連の強いのは12番目の、生命の起源。色々な生物のゲノム配列が明らかとなっている。ゲノム配列というのはいま生きている生き物の設計図であると同時に、その生き物がたどってきた道筋が刻まれている歴史書でもあるのだ。生命の起源や進化がいま非常に熱くなっている。