アマリリ麗し(カッチーニ)

講談社学術文庫から礒山雅が「バロック音楽名曲鑑賞事典」という本を出しています。有名な曲から殆ど知られていない曲まで百曲集めていて、お手軽なバロック音楽案内になっています。ナクソス・ミュージック・ライブラリー(NML)を基本として、この本に出ている曲を聴いていきたいと思います。


一曲目はカッチーニの「アマリリ麗し」です。バロック最初期の甘美で切ない歌。語りと歌がとても親密だった、この頃の歌は大好きです。「愛するアマリリよ、この愛を疑うというのならわが胸を開き見ておくれ。心臓にアマリリこそわが愛と書かれているのを。」という歌詞にあうのは、素朴に歌う男声の気がします。NMLで見つけた演奏の中では次の二人が特に気に入りました。


一人目はベニアミーノ・ジーリという歌手の、古い録音。ピアノ伴奏版オーケストラ伴奏版ともに飾りのない歌い方が好感。たっぷりとした歌い方に込められた思いが伝わってきます。


もう一人はマルコ・ビーズリー。語りが歌であり、歌が語りであるアマリリ。切々とした、誠実な思いを込めるのに技巧を凝らす必要はなありません。彼の歌はパリで聴きましたが、飾り気のない純粋な声がかえって内の思いを力強く伝える、素晴らしい歌でした。この曲が入っているアルバムはお勧めです。こちら


あとは、女声ではキャスリーン・ウェブスターの演奏と、こちらのちょっと神秘的アレンジも気に入りました。
バロック音楽名曲鑑賞事典 (講談社学術文庫)