日本人になった祖先たち 篠田謙一
ミトコンドリアDNAの配列解析から、人類がどのように世界へ拡散していったか考察する内容。といっても、表題の通り日本人のミトコンドリアDNAに関する話題がおおい。新しいデータも色々入っていて、人類がアフリカをでてどのようなルートをたどって世界中へ拡散していったか大筋を理解できる。
ただし、話題がミトコンドリアDNAの解析にほぼ限られてしまっていているのがとても残念だ。文化、言語、地理、気候などなど、人類の歴史をさかのぼろうと思ったら、ほかにも色々俎上にあげた方がいい話題はつきないだろう。ミトコンドリアDNAのハプロタイプを事細かにかなりの紙面を割いて解説している割に、そもそもミトコンドリアDNAの構造がどのようなものか、ハプロタイプの違いがどの部分のどういった配列の違いなのかなど基本的なことには触れられていない。そういったバランスの悪さと、語りの不器用さで少々読みづらく感じたが、内容自体はとても面白かった。エッセンスだけなら今うっているThe Big Issue 86号を買うとよい。
日本人になった祖先たち DNAから解明するその多元的構造 (NHKブックス)
- 作者: 篠田謙一
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2007/02/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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