沈黙の世界

沈黙の世界 [DVD]ジャック=イヴ・クストーの世界 DVD-BOX
ジャック=イヴ・クストーの映画「沈黙の世界」を見た。フランスで海といえばジャック・マイヨールとこの人をまず思い浮かべる。クストーはアクアラングを開発した一人でもあるそうだ。


この映画は1956年公開作品で、カリプソ号に乗って地中海、紅海、インド洋、ペルシャ湾を探索していった模様のドキュメンタリー。監督はなんと「死刑台のエレベーター」を撮る前のルイ・マル


ドキュメンタリーといっても台本に従った演技も盛りだくさんでクサイし、どうしてもフィルムの古さが目に付くのだが、しかし海の映像の美しさはそれを補ってあまりある。なるほど、その後の海底映像のあり方に大きな影響を与えたのだなと納得する出来だ。


ただ、時代を感じさせる無邪気な映像も満載で、その際たる物が鯨を巡るひとくさり。鯨の群れに遭遇して、スクリューに当たってけがした小鯨を「楽にさせてやる」といって銛でつき、揚げ句の果てには鮫のえじきにする様を嬉々として映し出しているのだ。念の入ったことに今度はその鮫を釣り上げて「憎いヤツだ」と甲板で撲殺。いやはや。


フランス人には海への思い入れの強い人が結構いて、クストーもそれに連なる一人であり、またそういう人を生み出す源の一人でもあるのだろう。